アレルギー性鼻炎・花粉症の症状
アレルギー性鼻炎は、「くしゃみ」「透明な鼻水」「鼻詰まり」が代表的な症状です。
風邪と異なり、通常発熱は伴いませんが、呼吸困難を感じるほどの不快感をもたらすことがあります。
耳のかゆみ、目のかゆみや充血、のどのイガイガ感、皮膚の肌荒れ、頭痛や嗅覚の低下など、全身にわたる症状が現れることもあります。
これらが長期にわたると、集中力の低下、ストレス、うつ状態、疲労感、睡眠障害などの精神的な影響を引き起こす恐れもあります。
アレルギー性鼻炎・花粉症とは?
原因や発症の仕組み
通年性アレルギー性鼻炎【ハウスダスト】
ハウスダストなど年間を通して室内に浮遊する物質が原因となって起こるアレルギー性鼻炎です。
ハウスダストは、室内のほこりやダニ、ペットの毛(犬、猫など)、昆虫、カビの胞子などが含まれている小さなゴミです。
季節性アレルギー性鼻炎【花粉】
特定の季節に、植物の花粉によって引き起こされるアレルギー性鼻炎です。春先に多いスギやヒノキ、夏から秋に多いキク科のブタクサ、ヨモギをはじめ、日本全国では約60種類の花粉が花粉症の原因となっています。
発症する仕組み
「アレルゲン」とは、アレルギー反応の引き金となる物質のことです。
例えば、スギ花粉症の場合はスギ花粉が、通年性アレルギー性鼻炎の場合はハウスダストがアレルゲンにあたります。
これらのアレルゲンに長期間さらされると、体はそれらを異物と見なし、排除するための抗体を生成します。このプロセスを「感作(かんさ)」と呼びます。ある一定の時期から「発症(はっしょう)」すると症状がではじめます。
アレルギー性鼻炎・花粉症の検査
特異的IgE抗体
採血を通じて、血中のIgE抗体の反応する抗原の種類や量を測定します。アレルゲンの内容やアレルギー性鼻炎の度合いを特定することができます。
花粉症やアレルギー性鼻炎を
放っておくとどうなる?
成長に伴い改善するケースもありますが、アレルギー性鼻炎は通常自然治癒しません。
放置すると鼻詰まりによって口呼吸になり、慢性副鼻腔炎や気管支喘息、アレルギー性結膜炎などの合併症のリスクが高くなります。
また、睡眠障害や注意力散漫などを招く可能性もあります。
アレルギー性鼻炎の治し方
保存的治療
抗原の除去
アレルギー症状を抑えるために、以下のような予防・対策が有効です。
- 掃除:ダニやほこりを減らすために、週に1~2回の掃除を行う
- 湿度と温度:室内の湿度を約50%、温度を20~25℃に保つ
- 布製品の使用制限:布製のソファーやカーペット、畳の使用を控える。
- ダニ防止カバー:ベッドのマットレス、布団、枕にはダニ防止カバーを使用する
- 花粉症対策:飛散時の外出を控えたり、外出時にはマスク・メガネを使用する。帰宅時には、服や髪についた花粉をよく振り払ってから入室するとよい
減感作療法(舌下免疫療法)
ダニやスギ花粉などのアレルゲンを段階的に増やしながら体に慣れさせ、アレルギー反応を減らす治療法です。この方法は約80%の患者様に効果があり、初回は病院での監督下で行われます。その後はご自宅で継続可能です。複数のアレルゲンに対する反応や副作用の可能性もあるため、慎重な管理が求められます。
約3-5年と長期的な服用が必要になりますが、約7-8年持続効果があるとの報告があります。
薬物療法
患者様の状態に応じて様々な薬剤が用いられます。
抗ヒスタミン薬はくしゃみや鼻水を速やかに抑えますが、眠気などの副作用がある場合があります。抗ロイコトリエン薬は鼻づまりも含めた症状の改善に役立ちます。ひどいときには経口ステロイド薬を短期的に用いることもあります。
ステロイド点鼻薬は炎症と鼻づまりを効果的に抑え、局所使用のため全身への副作用は少ないですが、点鼻による刺激を感じることがあります。漢方薬は体質改善に効果があるとされ、副作用もあまり激しく起こりません。
また、最近のアレルギー剤は薬剤は副作用が少なく、眠気や口の乾燥が起こりにくい傾向にあります。市販の点鼻薬に含まれる血管収縮剤は即効性があり短期使用には問題ないですが、長期使用は薬物性鼻炎のリスクがあり逆に鼻詰まりが悪化することもあるため推奨されません。
レーザー治療(※当院では対応しておりません。)
腫れた鼻粘膜にレーザーを当てて焼くことで鼻通りを改善させ、アレルゲンの粘膜への付着を減らすようにします。日帰り手術で、保険診療として受けられます。